学校健診

連休が終わり梅雨に入るころまでに学校健診が始まります。学校健診は学校医の仕事の一つですが、学校医は一つの学校に内科、眼科、耳鼻科、歯科医師がそれぞれ1名ずついます。内科は主に我々内科か小児科医がその地区ごとに振り分けられて当たります。自分の場合2校受け持っていますが、その時期になると昼休みの合間をぬって午前中の診療が終わるやいなや昼食をかきこめればラッキーで、少しでも午前診療が延長してしまえば必死で診療を終わらせて昼食もとらずに急いで学校に赴きます。それから約1時間、聴診器のあてっぱなしになるのです。毎年のことで何年もすると慣れてきてうまくこなせるようになりますが、最初のうちは一気に1-2学年の生徒100-200人診察すると聴診器が耳に食い込んで痛くなります。我々は自分の持ち分の学校だけで終わりなのですが、耳鼻科や眼科健診の担当医師は医師数が少ないうえにお互いに助け合いながら全ての学校の健診をしなければならないためたくさんの学校に赴かなければならないので大変です。ですから医師の皆さんはこの時期はとても時間に追われて大変なのです。更に職場健診や市から委託された癌検診や特定健診、乳児健診、歯科検診もこの時期に立て込んできますのでダブル、トリプルパンチなのです。梅雨が明けるころには一段落ついてくるのですが、この時期はいろいろと忙しいのです。

では学校医はその他にどのような仕事があるのかといいますと、学校保健委員会が年に数回程度あります。養護教諭の司会のもと各学年担当の教諭と校長、そしてPTAを中心とした父兄が集まって年間の保健指導内容の確認や活動報告が行われます。その後医師が意見を述べ、その他各種質問に答えます。そのような活動が毎年行われています。また本業である教職員の健診結果のチェックなどもあるわけです。また4-5年に一度ですが、父兄と教職員を対象に特別講座があります。話題は世の中の流れに合わせてその時節にあった内容を1時間程度講義するのです。私の場合5年前にAED(自動体外式除細動器)の使用方法と心マッサージの練習をしました。AEDは一般市民誰しもが突然目の前で人が倒れたら行わなければなりません。火事になったら初期消火が大事で消火器の使い方もいざというときに練習しておかなければ慌ててしまいうまく使用できないのと同じです。心マッサージと人工呼吸法とAEDの3点セットで約1時間の講義でした。このような実習体験は何回も繰り返し継続して行わなければ人間いざという時にすぐに行動に結びつきません。「継続は力なり」という諺がありますが、まさにその通りで次の機会にも同様にAED講習を計画しています。皆さんも市民を対象に消防や医療機関や自治体が主催した体験実習会が市の広報などで目にされることがよくあると思いますが、一度は体験されることをお勧めします。「百聞は一見にしかず」ですよね。聞くと見るとでは大きく違いますし、見るよりも実際に行うことは更に何倍もの効果があります。しかしいざという緊急事態があなたの目の前で起こらないことを医療従事者としては祈るばかりです。

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