インフルエンザ予防接種

今年もインフルエンザ予防接種の季節になりました。昨年までは周南市のインフルエンザ予防接種の65歳以上の公費補助は11月からでした。周辺の市町村では10月から開始したところも多く足並みの乱れがありました。そのように自治体ごとで異なるルールは医療機関にとってはとても厄介です。今回はそれをふまえて開始日を統一したことは喜ばしいことです。価格についても補助金額が自治体ごとに異なります。勿論、価格協定を結ぶ、つまり独占禁止法に違反するカルテルにあたる可能性もあり、なかなか難しい問題だと思います。しかし医療自体が公的負担と自己負担でセットなわけですから、予防接種の価格も一律にした方が望ましいと個人的には思っています。

今年は10月から開始と書きましたが、現実的には101日にいの一番に接種を希望される方はまずいらっしゃいません。なぜならインフルエンザが流行するのは早くとも12月中旬以後で、一般的には正月明けの民族大移動の後からです。そして春一番の吹く頃までにピークを迎えます。流行はA型が主体です。A型には香港やソ連型、そして3年前に大騒ぎをした新型(現在では2年以上経過したため新型とは言いません)などがあります。そしてスギ花粉症のピークが過ぎて終わる頃に小学校や幼稚園でB型インフルエンザが一部流行します。そして桜が咲いて散る4月中下旬には終了というのが定番です。

ではいつ予防接種をするのがベストか?ということになります。一般的に予防接種の有効期間は45か月程度と言われていて抗体ができるまでに約24週間かかりますので、11月下旬までに接種すれば間に合います。しかしその頃はインフルエンザ以外にも普通の風邪や嘔吐下痢症なども流行し始めます。一度体調を崩すと12週間は予防接種のタイミングを逸してしまいますので、体調がよければ10月中旬から11月中旬までに接種するのも全く問題ありません。早めの接種をお勧めします。

では、インフルエンザにかかってしまったらどうするか。その場合はタミフルという内服薬もしくはリレンザという吸入薬を使用して安静にして5日程度休養することです。学生ならまだしも、世の中の働くお父さんは自分も含めて「そんなに休めないよ!そんなに休んだらクビだって言われてしまうよ。おまんまの食い上げだ!」という声も聞こえてきます。全くその通りです。しかしこのような風潮は欧米人とは異なった日本人の考え方でもあり、国民性の問題も関係していますので、あえてコメントはしません。ただ外国の一部ではタミフルなども使用せずに自然治癒に任せるという考え方もあるようです。全部ではありません。またタミフルなどの使用量は日本がダントツだそうです。1日でも早く治して仕事をして社会に貢献するという日本人魂はやはり健在のようですね。「狭いにっぽん、そんなに急いでどこへ行く?」という交通事故予防の標語が以前に一世風靡しましたが、本当にその通りだと思います。勤勉な国民性は素晴らしいのですが、その他の部分でかなりほころびがきているように思うのは私だけでしょうか?

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