最近、個人情報保護法っていう言葉をよく耳にされると思いますが、皆さん、意外なところで不便に感じたことはありませんか?私の場合は最近よく不便に感じています。特に今回は同窓会開催の名簿作成でいろいろと困ることがたくさんありました。
昔なら電話帳を見れば、大体住んでいる町名と親の名前で、友人の家の電話番号だろうとおおよそは見当がつきました。しかし現在では個人情報保護云々ということでまず電話帳に番号自体を掲載してないことも多々あります。電話帳が個人の電話帳として機能せずに、お店探しのタウンページのみの利用になっているのが現実でしょうか。次に運よく連絡先がわかって電話をかけたとしても、オレオレ詐欺と疑われかねません。昔ならすぐに同級生の連絡先を教えてもらえたのに今では不可能に近いのです。
なぜこのように個人情報がうるさくなったのでしょうか?昔のままでいいのにと思うことがよくありますよねえ。多分、インターネットが発達していろいろな情報が手に取るように簡単に入手できるようになった反面、個人情報が簡単に利用され更に悪用され始めたからでしょうか。世の中って何でもそうですが、いいことをするとその反動でそれを利用するならまだ許されますが、悪用する輩が必ず出てきます。それを規制するためには少々不便ではあってもルールを作り、その規制からはみ出させないようにします。するとまたそのルールの境界の灰色部分を巧みに利用するものが出てくる。そのイタチゴッコの繰り返しといっても過言ではありません。逆にいい面もあります。昔ならいろいろすり寄ってきた電話勧誘に対して、「うちの電話番号を電話帳に掲載してないのにかけてくるなんて、あなたは違法に個人情報を盗んだんじゃないの?」って訊ねます。すると普通の勧誘ならば面倒くさいなあと思うのでしょう。すぐに切ってしまいます。しかし最近は強者の勧誘業者がかなり出現してきてこの限りではない場合も多々あります。
同じように、医師は患者さんの情報を漏らしてはいけないと医師法で厳しく規制されています。この法律は昔からあるのですが、この個人情報保護法が一人歩きを始めてからはいろいろな問い合わせに関してひとこと「個人情報保護法があるから一切お答できません!」の一言で片付くようになり、楽になった面もあります。昔なら患者さんが自宅で自然に死亡した場合、警察から電話がかかってきて「○○さんの病歴を教えてほしいのですが」と言われたら医師法に照らし合わせて慎重に受け答えていましたが、現在では「まず本当に警察の方ですか?」から始まり、「個人情報保護法は御存じですよね」と続けていろいろ相手の状況を電話越しに確認して、自分が個人情報保護法に抵触しないかどうかの難しい判断を迫られる場面が増えてきました。表裏一体のことですが、あちら立てればこちら立たず、なかなか難しい問題ですね。世の中が便利になればなるほど、昔は当然だと思えたことが今では非常識だと言われることも多くなりました。そのような便利でもあり不便な今の世の中を少し寂しく思う今日この頃です。「歳とったのかなあ?」