春一番の季節

毎年2月中旬頃より、春一番が吹き始めます。春一番といえばあのフレーズ、「雪がとけて川になって流れて行きます。つくしの子が恥ずかしげに顔を出します。もうすぐ春ですねえ。ちょっと気どってみませんか」そうキャンディーズですよね!昨年はスーちゃんの訃報を聞き、医療関係者としては「助かる命」と「助けられない命」があることに「神様はどうやって振り分けるのだろう」と思ってしまいます。自分たちの青春時代を猛スピードで駆け抜けて、「普通の女の子に戻りたい」という一世風靡をしたあの名文句で引退していったキャンディーズのことを、毎年春一番が吹くとついつい口ずさんでしまいます。

さて、今日は春一番でも医学的な見地からのお話です。毎年春一番が吹き、バレンタインデーのチョコ合戦が終わりを告げる頃から花粉症が出始めます。勿論、毎年のスギの生育や気温の状況に左右されますが、ちょうどその頃から患者さんの訴えが始まります。ではなぜこの時期よりも1か月も前に花粉症について書いているのかと申しますと、早い備えで症状の悪化がほぼ抑えられるという自らの体験談をお話したかったからなのです。

10年くらい前からだと思いますが、急に花粉症がひどくなりました。この季節、特に鼻づまりと目の痒みで集中力が低下し仕事の能率もかなりダウンしながらも、同じ花粉症状の患者さんには「もう少し早くから薬を飲めば楽なのにねー」と製薬会社のパンフレットをお渡しして、心では自らを戒めながら「来年こそは早めに来院されて薬を服用すればこんなにきつくはなりませんよ」と説明しながら薬を処方します。自分も症状が出て3-4年は服用するタイミングを逸して悪化してから飲み始めていましたので、症状がピークを迎えてから予防しようとしてももう遅かりしです。

そこで3年前に「今年はパンフレットどおりに症状が出始める2週間前から薬を飲み始めるぞ」と一大決心をして1月下旬から1日1回の服用を始めました。最初は本当に効果があるのかどうか疑心暗鬼です。しかし2月中旬になっても鼻づまりが起こりません。点眼薬も内服薬に遅れること2週間、ちょうどバレンタインデーの頃から開始しました。目もそんなに痒くありません。その年のピークは3月初旬ころでしたが、そのピーク時でも早めの服用により以前の最悪の時を100として、全く症状がないときを0とすれば、不快指数はほんの20-30程度でした。勿論、自分の症状にあった薬を吟味して使用したからなのですが、自分の症状に合致した薬を1月下旬から使用すると「こんなに快適にいけるのかあー」と当たり前のことですが、自分で身にしみて体験したわけです。

自らの体験と医学的理論が合致した花粉症治療、皆さんにもこの早めの行動があの不快な花粉症状を少しでも和らげることができることを知っていただきたくて、この一番寒い大寒の時期に春一番のことを書いた次第です。尚、症状や仕事内容により、例えば眠気がくるなどの副作用も若干ありますので、自分にあった薬を医師に相談して決めた方がよいのは言うまでもありません。備えあれば憂いなし!

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