先日10年ぶりに中学時代の理科の先生が私を訪ねて来られました。その先生は理科の授業を担当されただけで担任でもありませんでしたので、卒業後に接点は皆無でした。それから30年が経過して中学の同窓会を開催した時に私は幹事をしましたので、かつての恩師のビデオレターを撮影すべく防府の先生の自宅にアポをとって伺いました。勿論、恩師は私を覚えているはずもありませんので、同級生に放駒部屋に入門した元力士がいましたので彼の名前を出すとすぐに「あの学年か」と懐かしく思い出して頂けました。それから10年後の今回のアポなしの突然の訪問ですが、先生が私のことを覚えていただいていたので嬉しく思いました。御年は82歳になられていましたが、とてもお元気で昔取った杵柄で現在も防府のソラールで理科関連の不定期な仕事をされているそうです。
当時、先生が理科の授業で話されたのを今でも鮮明に覚えています。「どうやったら人間は速く走れるか?」という質問でした。今なら「ウサインボルトのようになればいい」と即答してしまいそうですが、当時は10秒の大きな壁を破れるかどうかが人間の限界と考えられた時代です。先生は「足を速く運べばいいんだ。右足を前に出した後になるべく速く左足を前に出す。その繰り返し動作を速くすれば速く走れる」とのことです。言われてみればその通りです。「地に足が着く前に次々に足を前に出せば、究極は飛ぶことになる」とも言われました。それが科学的に真実かどうかは今でも理科が苦手な私にとって疑問は解決していませんが、リニアモーターカーのように宙に浮けば摩擦が無い分だけ速く走れるという理屈にはかないそうです。ピョンピョンと飛跳ねることで速く走ることは物事を効率にこなしていくことにも繋がり、現在のせわしい世の中にはとても大切なスキルであることには間違いありません。そして今年こそはピョンピョンと飛び回れる世の中になって海外に自由に行けるコロナ後の新しい社会になってほしいという強い期待もあります。
今年の兎年にちなんでピョンピョンと威勢の良いお話にしたかったのですが、少し話題を変えて兎と亀のお話をします。「継続は力なり」でコツコツと真面目に積み重ねることこそが真の力となり最後に亀は兎に勝つという物語です。私はこの物語が好きで、以前子供が入試に失敗した時に親として何か伝えることはないかと考えてこの四字熟語「成亀勝兎」を作りました。ネットで過去にもこれと同じ意味合いの事例は多くありましたが、熟語としてはあまり聞いたことがなくネット検索でもヒットしませんでした。漢文を高校時代に学習しましたが、そのルールに沿って作りました。まずは成長してほしい気持ちと亀でも頑張れば成功するという意味を込めて成亀として、のろまな亀でも努力して兎に勝ってほしいという願いから勝兎を続けました。音読みなら亀は「キ」で兎「ト」になりますので「せいきしょうと」と読んで「兎に勝つ亀に成れ」になります。兎と亀、双方ともに一長一短はありますが、最後はピョンピョン飛び跳ねるよりもノロノロでもいいから雑草の如くしっかり地に足がついている方が強いと思うのは私だけでしょうか?