昨年はコロナで始まりコロナで終わった1年でしたが、今年もワクチン接種が軌道に乗って集団免疫を獲得するまでにはまだまだ長い道程が待っています。今年の前半はワクチン絡みで特にタイトな日程なるでしょう。早ければ2月から医療従事者に新型コロナワクチンの接種が始まります。我々医療関係者がお互いにワクチン接種するのはどうにでもなるのですが、その時点で確率は低いものの必ずアナフィラキシーショックなどの重篤なアレルギーが少数は起こります。そうすると重大な副作用ということでマスコミが騒ぎ出すに決まっています。予防接種は体内に外から異物を入れるのですから理論上副作用がゼロということはありません。しかしマスコミはその報道の仕方に問題があります。事実は事実としてそのような副作用もあるのは当然だということ、そしてそれは何万人に接種して何人起こったのかという科学的事実を正しく伝えなければなりません。それをお昼のワイドショーのにわか芸能人気取りの医療関係者や芸能人コメンテーターが玄人気取りにコメントしてほしくありません。その一言が一般視聴者に誤解を与えて「新型コロナワクチン接種は恐ろしいので接種しない」という風潮を作り上げてしまうからです。一方で科学的な事実を正確に厚労省は発表してその事実を報道機関に公正に伝えるように指導してもらわなければなりません。他国では国家機関がグルになって情報の捏造をして国民を誘導する場合もよくあります。日本ではそのような可能性は低いと思いますが、過去の歴史を紐解いてもそのような事実がないわけではありません。その点についてはマスコミがしっかりとチェック機能を果たさなければなりませんが、マスコミ自身も信頼のおけるコメンテーターを選んで正当に評価しなければなりません。
そして3月下旬頃から既往歴のある患者さんや高齢者を対象にワクチン接種が始まると思いますが、今から危惧していることがあります。国民の3分の1が「ワクチン接種は恐ろしいから接種しない」と言っても残りの3分の2は接種しなければなりません。すると新南陽地区だけ考えても人口3万人の3分の2の2万人が接種対象になるわけです。その場合は従来通りの各医療機関で予防接種となるとマイナス70度以下の保存が必要なワクチンもあり現実的ではないのです。そのため40年以上前の昭和の時代に学校で実施していたような集団接種が浮上してきます。既往歴があっても高齢でもしっかりと歩行可能な方は地域の保健センターや病院で集団接種した方が効率もよくより現実的なわけです。そして我々医療関係者がそこに出務して接種する方向で行政側は進めているとの報道を昨年末に耳にしましたがその通りになるのかは未定です。
しかし最初にお話した通り、ワクチンを厚労省が審査して2月にGOサインが出てからも副作用などチェックをして世界各国の情報も入れながら少しでもワクチン接種に疑問が出ればそこでストップがかかります。そのような何重ものセイフティーネットをくぐりぬけながら我々個人に接種が開始され終了するのは最低でも半年以上はかかるでしょう。