前回はマウナケアの予約まで話しましたが、今回はその歴史についてです。3年前にマウナケアに登頂して夕日を観ましたが、星空観測は半月の明るさのため満天の星空には程遠い状況でしたのでリベンジしたいと考えていました。今回は新月から3日目ですのでかなり期待できそうで昨春には予約しました。しかし夏に問題が発生します。ハワイの先住民族は昔からマウナケアを信仰の対象としてきました。日本人が富士山を精霊化するのと同じ考えです。しかしマウナケアは世界屈指の天文台の好立地で10を超える天文台が頂上付近に所狭しと建っています。過去に建てられたものは致し方ないにせよ彼らはそれをよく思っていなかったのですが、行政が無理やり許可して建てたのです。今回新しく30mの大観測ドームの建設計画が持ち上がり、地元先住民とトラブルに発展してマウナケア山頂に行く道路が抗議のデモで封鎖されました。それが7月15日です。例えるなら富士山に大きな天文台を建設する許可を静岡県知事が出したので地元環境保護グループがそれを阻止するために富士山の3合目付近の道路を封鎖して観光客が昇れないようにしたようなものと言えば理解できると思います。そこで地元の警察とデモ隊がぶつかりますが、同じ静岡県民がいがみ合うようなものです。それで悲しい現実としてマウナケアの登頂が不可能となり予約も自動的にキャンセルになりました。その後から何度となくネットでマウナケアデモと入力して検索しますが、新しい情報は更新されません。12月中旬になっても一向に風向きは変わらず諦めかけていましたが、年末年始はデモも一休みするではないかと微かな期待をしていました。しかしそれも望み薄でのヒロ入りです。しかし私たちが到着した日の朝にデモが中止となり急遽マウナケアへの登頂が可能となったのです。これも現地の従妹が電話をかけまくって調べてくれたおかげです。早速翌日に滑り込むようにマウナケアツアーに参加できることになりました。
翌日午後にツアー会社がホテルまでピックアップに来て封鎖されていた登山道に向かいます。そこには昨日まで24時間デモを継続するため寝泊まりしていたテントが何十とあって先住民らしき人が多くいました。それを横目に車で山頂まで登っていきます。なんとなく後ろめたいような気持ちになります。今回の問題が双方で納得いくように解決できればと願うばかりです。マウナケア山頂は雲のはるか上ですので、下界が雨でも夕日は関係ありません。前回と同様に見事な夕日を観ることができました。しかし今回の目的は満天の星空観測で、月は三日月まではいきませんがその光り輝く分だけ星は消え去っています。ツアーコンダクターは「今日は7割の星が見える」とのことでした。耀く月と反対方向のオリオン座から天の川はきれいに満天の如く見えました。それを観ることができただけでも今回のツアー大成功です。澄んだ空気の高地から見る満天の星を次回は新月の日に完璧な満点の状態で観たいものです。そのような機会が将来やって来るかどうかはわかりませんが、三度目の正直にかけたいと思います。