前回は旧友と会って飲んで語り合い楽しい時間を過ごさせていただきました。翌朝はいつものように早くから目が覚め大浴場とサウナでアルコールを抜きます。この常宿はトイレのみついて大浴場とサウナのあるビジネスホテルです。JR神田駅から徒歩5分と絶好のロケーションで長男のいる新宿にも地下鉄で乗り換えても20分で到着します。本日は学会と内覧会と同窓会と目白押しで、家内は内覧会のみ同伴してその後は別行動となり夕方東京駅で待ち合わせです。前回長男の入学式の翌日に新宿で生活用品の買い物をした時に30分ほど時間がありましたので新病院の前を通ってみました。その時はまだ規制線が張られて遠目にしか内部を覗くことができませんでしたが、今回は堂々と中に入って行けます。まだ使用されてない建物で全てが新品の匂いが残っていて病院臭がしません。いずれ年月が経過すると病院らしい匂いが染みついてきます。その未来の匂いを私が嗅ぐことはないと思いますが、4年後に順調にいけばこの建物内を長男が歩いていることを想像するだけで私も家内もドキドキします。1階から一気に最上階のVIPルームまでエレベーターで上がります。「自分が病気をしてここに入院するとしたらここに入れるのだろうか?」と至らぬ事を想像してしまいます。最上階から眺めた都心の景色は過去に眺めた景色と違います。同じ景色なのに異なるということは以前の記憶の中での景色に現在の感情が色付けされ修飾されているのです。それから順に下の階へ降りて6階の大講堂や食堂そして屋上テラスを観て回ります。その後は階下の手術室に降りて行きます。ここの手術室に再び来ることなんて将来自分が癌にでもなってそれも上京して母校に入院することなど途方もなく低い確率です。これから6年間この大都会のど真ん中の病院で青春を謳歌できる長男の事を想像すると私まで鳥肌が立ってきます。1時間ばかりの内覧会でしたが、我々夫婦にとっては同窓会記念式典よりも今回の上京の目的は内覧会見学でした。それから品川の学会に出席しなければならず急いでとんぼ返りで新宿に戻ってきます。
午後は病院の隣のハイアットリージェンシーで同窓会記念式典に臨みます。私の年代になると仕事や立場も少しは一段落します。出席者も我々と同じ一段落ついた世代が多いようにみえますが、知っている先輩や同級生や後輩が大学本部の教授になったり同窓会の理事になったりしています。特に今回は特別な記念式典ですので出席すれば誰かに出会えるであろうと思っていました。当時はそんなに話したこともない先輩や後輩であっても卒業して時間がたてばまた変わるものです。4月の入学式の時の来賓祝辞で言われたことが脳裏をかすめます。「東医の良いところは何?」と聞かれたら「卒業したらわかるよ」と答えているとのことでした。本当にその通りです。卒業までは「こんな大学」くらいにしか思いませんでしたが、卒業すると同窓の輪がわかってきます。離れると余計にその大切さが身に染みてきます。長男には医学部に行くなら最初から我が母校に行けば良いと勧めてきました。私立にはそれぞれの伝統があり良さがあるのです。