今回はマウナケアについてお話をしましょう。マウナケアは4000m級の火山で現在はキラウエアのように活動はしていません。そのため世界中から天文学者が集まり天体観測をしています。日本からもスバル望遠鏡が活躍しています。そのような場所ですから観光客は山頂まで一部を除いてアスファルトで舗装された道路を車で登れるのです。富士山よりも1000mくらい上まで車で登れるのですから観光客も押し寄せます。常夏の海岸からなだらかなスロープのようなアスファルト道を四輪駆動のバンで登っていきます。徐々に風景が亜熱帯から温帯気候に変化していきます。周りは見渡す限りの牧草地帯で世界最大の牧場を眺めながら登っていきます。この牧場は東京23区がスッポリと入る程度の広大な敷地でヤギや牛がポツポツと点在しています。そこから車で30分ほどの2800m地点で高山病予防のために休憩を1時間ほどとって体を慣らします。その休憩場所はオニヅカビレッジと言います。ハワイではオニヅカ氏は超有名人で、日系人として初めてスペースシャトルチャレンジャーに乗り込み、1986年の爆発事故に巻き込まれた宇宙飛行士でした。そこで日本のコンビニ弁当とほぼ同じものが出てきましたので、日本の先人たちの凄さに再度感心させられた瞬間です。体慣らしが終わると一気に30分で山頂へアタックです。
車で一気に駆け上りますがほとんどがアスファルトで4000mを超えるという感覚がありません。どんどん頂上へ向かうと月面かと思うようなゴツゴツとした岩石に眩しいばかりの太陽が照りつけて日向と日陰の濃淡が対照的です。いくつもの丸い天体観測所を横目に見ながら夕日が沈む30前に到着。そこは地上と比べて酸素が60%しかなくゆっくり行動しないと倒れますよとガイドに言われていましたが、それほど空気が薄いとは感じませんでした。しかし寒いのは当たり前。氷点下ではないにしても日本の冬の寒さでダウンジャケットが必需品です。時間とともに雲海の上から望む大きな夕日がオレンジ色へと徐々に変わっていきます。昨日は海に沈む夕日でしたが、今日は雲に沈んでいきます。その息を飲むような光景にはただただ見惚れるばかりです。この夕日に明日からの人生へ願いを込めて祈りを捧げたいという厳かな気持ちになりました。沈んだ後にもまだオレンジ色の帯が雲海に伸びその上から青白く黒い闇のカーテンが迫ってきています。その夕日を見た後にはまたオニヅカビレッジまで降りて満天の星空観測です。今日は上弦の月(新月と満月のちょうど中間)でかなり夜空が明るくなり新月と比較すると40%くらいしか見えないそうですが、それでも日本の夜空と比べると満天の星と言っても過言ではないでしょう。そのような星空で北極星や天の川などいろいろな星座を説明していただきました。また天体望遠鏡で土星の輪や月面のクレーターも見せていただきました。
常夏の海岸から車でおよそ数時間、そこは全くの別世界。その世界から太陽や宇宙を望みます。とても人間がちっぽけに見えます。そして青い地球の素晴らしさを感じたツアー旅行でした。次回はハワイ島一周での出会いをお話します。