4年ぶりに高校の同窓会がお盆に開かれました。高校は中学や大学時代と比較して自分にとっては一番縁遠い存在です。なぜなら中学ではクラブ活動をしていましたが、高校では帰宅部でクラブに所属していなかったからです。そんな理由もあり出席しても同じクラスの友人くらいしか知りませんのでいつも行く前はとても緊張してしまいます。行けばそんな不安なんてすぐに吹っ飛んでしまうのですが。そのようにあまり記憶の少ない高校時代ですが、その短い3年間でも少しの間だけは高校生活を謳歌させていただいた一瞬が存在するのです。それは高校3年の夏休みを終えてのたったの3週間ばかりですが、自分の中では高校3年間の青春を全て燃えつくした期間がありました。運動会と文化祭です。当時の私はそのような催しに積極的に参加するタイプではありませんでした。しかしわが母校は高校3年のその一瞬だけはクラスが一丸となってクラスマッチのように燃え上がることができるのです。もう34年近く前のことですが、ちょうど今頃の残暑厳しい夏で今でもその時だけは鮮明に記憶が残っているのです。
暑い日曜日に運動会のためのアーチ、それは高さが5m程度の大きなキャラクター人形を作るのです。我々紅組は確かNHKのキャラクターでした。その他の色はアニメのあられちゃんなどを作っていました。額は汗だくになりながら頑張りました。最初はばからしいと思っていた私ですがのめりこむまでに時間はそんなにかかりませんでした。そして当日本番でも大いに盛り上がりました。その後の文化祭のクラス対抗合唱コンクールではうちのクラスは男子クラスで相当不利だったのですが、合唱部員が何人もいて彼らの指導を仰ぎながら必死で練習して優勝したのは奇跡に近かったように思えます。ほんの一瞬に打ちあがった花火のようですが、私にとっては十分すぎるほどの時間でした。そんな一瞬の思い出があるからこそ、今でも高校の同窓会があれば出席するのかもしれません。もしその一瞬すらなかったらその3年間は空白となり記憶はそこだけが抜けていたことでしょう。そういう意味では当時のあまり学校行事に参加することを不得意としていた我々まで一緒にがんばろうと手を差し伸べてくれたクラスメートに感謝しているのです。
4年ぶりの同窓会。しかし高校卒業以来今回も会いたくても会えなかったクラスメートもいます。34年ぶりに会えた友人もいます。会えば現在、過去、未来という時の空間を行ったり来たりして当時の記憶と現在の姿を結びつけようとします。それが同窓会の楽しみでもあるわけです。それこそ一夜限りの線香花火のようでもあり、翌日の朝には何事もなかったようにいつもの現在の自分に引き戻されます。そして昨夜の夢物語がどこまでが現実でどこまでが夢だったのかという境界線も翌朝にははっきりしません。それでもまた今日という新しい現在の自分の世界の再スタートのために、その夢物語は私の背中を優しく押してくれるのです。「この地上のどこかで皆がんばっているのだからお前もがんばれ」と自分に優しく語りかけてくれるのです。