東大入試問題と聞いて身を引く方も多いと思います。かつて受験生の時は「なんでこんなやっかいな訳のわからない文章を東大に行くやつらは理解できるのだろう?」と同級生のトップ達を羨んでいました。私の小学校から高校までの友人で東大に現役で行って就職は松竹に入って(当時東大を出て松竹って結構変わってんなあと思いましたが)その後は北野たけしオフィスで今も働いています。現在は映画評論家なるものをして業界では有名人ですが、そんな彼も昔から読書は好きでした。一方私は典型的な活字嫌いでしたのでそこが東大に行けなかったか理由かもしれません??今では知的な楽しみとしていろいろな本を読みますが、よくあるビジネス攻略本や週刊誌の特集は表面的な仕事の手段として利用できますが、人生の羅針盤にするには物足りません。一方で新刊本の方が自分にとって人生への示唆をより与えてくれるような気がします。とは言っても週刊誌より値が張るため元を取るために必死に考えじっくりと読み込むことの違いからくるのかもしれません。
最近今回の主題の本を3冊続けて読みました。なぜこれらの本を選んだのかですが、過去の受験で国語が苦手だったことと最近の中学受験国語問題(とはいってもレベルは高校や大学入試レベルの文章で、設問を中学生レベルに合わせているような感じです)を読んで自分がタイムスリップして小学生に戻ったらもう一度チャレンジしてみたいと思っていたら本屋さんで目にとまったわけです。その本の前書きにも「知的好奇心を満たしたい人」とか「現代を生き抜くために教養を身につけて、新しい時代を生きるための指針を求めたい人」には是非と書かれていて、自分へのタイムスリップリベンジとやるなら東大の受験国語のレベルを是非に垣間見たくなって飛びついたわけです。
読んでみると難解な言葉もたくさん登場してきますが、人生50年生きてきた経験からでしょうか?何となく著者が言いたいことがおぼろげに見えてきます。若くて経験が浅く浅学な高校生の自分が決められた時間内に合格というただその目的のためにだけ挑戦していたなら全く歯が立たなかったに違いありません。しかし人生の航海をして経験を積んできた者がゆっくりと制限時間にとらわれずに味わうように読んでみると本当に示唆に富んだ内容なのです。これからの自分はどのように生きていくべきか?自分が満足できて更に社会にも貢献できるか?という疑問が自分の頭の中で整理されていきます。結局人間は一人では生きることはできず必ず相手が必要で動物とは異なる知性や感情を持ちそれをいかにコントロールして対処するかというテーマ、未来永劫普遍的な生物にとって避けては通れない生と死のテーマ、常識と思うことが実は非常識でしっかりとした眼力を持たなければならないというテーマなどが多く取り上げられています。自分の先が見え隠れし始めるとその境地がわかってくるからでしょうか?感覚的にそのような難解な文章でもわかるような気がします。とっつきにくい文章かもしれませんが、そこらに転がっているハウツウ本よりは自分自身の内に問いかけている文章のため自身の心の血や肉になります。