毎年この時期は個人的に悩ましい季節です。鼻がムズムズしてくしゃみ、鼻水、鼻閉がひどくなります。そして目の痒みがさらに追い打ちをかけて最悪状態へ突入です。しかしこの4-5年は、前回話したサンデーショックの解禁日に私の鼻も解禁します。なんのこっちゃ?と思われそうですが、2月1日が私のアレルギー予防薬の開始日なのです。以前は1月21日から開始した年もあり、また2月10日から開始した年もあります。早く開始してもそれだけ効果があるかといえばそうとも言えません。それでは遅くすればどうなるか?これはスギ花粉がいったん大量に飛散するとそこから予防してもなかなか効果が追い付いてくれません。もうあと1週間早ければよかったのにと悔やまれる年も過去に何度かありました。それで最後にたどりついた解禁日が2月1日なのです。勿論、地方によってかなり花粉飛散の開始時期はずれますが、ここ山口県では花粉が急にひどくなるのは毎年ちょうどバレンタインデーの頃と一致すると私の鼻は申しております。だからその2週間前に予防薬の内服と目薬を開始すると必要最小限で乗りきれるわけです。しかし2月下旬から3月上旬の飛散最盛期にはいくら準備万端にしていてもかなり不快な思いをしています。ホント、外に出たくないという感じです。また診察室に患者さんが入ってくるだけで外からのスギ花粉が衣服に付着していてイスに座った瞬間にそれを診察室でばらまいてしまうのです。すると数秒後に私はくしゃみの嵐です。本当に私の鼻は敏感なのだと感心させられます。その点から言えば鼻が鈍感な人が羨ましく感じられる瞬間です。
山を見渡すとスギがたくさん植林されています。昔私の祖父も山の畑にスギの木を植林していました。今から40年前のことです。「40年後には立派な大木になって売れば高いぞ」と言っていたのが昨日の事のようです。確かに立派な大木になりましたが、未来にこの大木たちが未来人たちのアレルギーの元凶になることはその当時誰一人想像もしていなかったのでしょう。それがわかっていればタイムマシンに乗って40年前に戻って祖父にスギを植えるのはいいけど未来人がくしゃみで困るよと耳打ちできたのですが。そして今は山が荒れ放題です。なぜなら農業、林業の担い手が不在のためスギの大木も枝打ちすらできずにここかしこと好き勝手に伸びてしまっています。そして下に生えるツルや雑草が木の根元から絡みつき好き放題な状況なのです。都会のコンクリートジャングルに住んでいる方は自然の恵みがあるだけで環境がよいと思われがちですが、都会にある緑豊かで手入れのされている代々木公園や日比谷公園や新宿御苑ではないのです。一歩山に足を踏み入れたらデング熱の蚊がいるかもしれないし、はみ(マムシという毒蛇の方言)がいたり最近はやりのSFTSダニ(かまれて重症血小板減少を起こす)がいるかもしれません。だから地元民もやたら自然に触れ合おうとは全然思っていません。アレルギーは空気が汚れた都会型の病気だとずっと思ってきましたが、実は田舎にも大きく根付いています。そして最近の西日本の脅威はモンゴル由来の黄砂ならぬ北京育ちのPM2.5です。ホントに困ったものです。